常識にとらわれないデッキ構築講座〜vol.02「全知と人知と…」

 

「全知」

 

神にのみ与えられるその力は、現在の事象のみならず未来の事象すら知ることができてしまう。

 

裏を返せば、人は「全知」ではない。

それなのに、「常識」というあたかも正しい枠組みを作る。それが本当に正しいかを知ろうともせずに。

 

◯1.コンセプト

導入でも述べたが、人は「全知」ではない。

これから起こることを「常識」の範囲内で想定して対処しようとする。

 

その「常識」の範囲外の事象が起きた時に人は成すすべもなく立ち尽くすのだ。

 

 

つまり、「わからん殺し」こそ最強の戦術なのだ!

 

 

とはいえこのオセロニア。

戦術や進行は研究され、デッキリストなども共有されている。

生半可な戦術ではダメだ。何かの劣化版になってしまい、容易く対処されてしまう。

 

考えに考え抜いて(20分くらい)、私が目をつけたのがこの3枚だ。

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今回の主役

ミアクレル+大喬小喬+アザゼル

 

ぱっと見意味がわからないと思うので説明しよう。

コンセプトとなる動きはこうだ。

 

1.タイミングを見計らい、ミアクレルを置く。

2.大喬小喬自傷アザゼルの発動範囲にHPを操作しつつバフをかける。

3.そして相手の次の攻撃はミアクレルの盾でシャットアウト。

4.そのままアザゼルでフィニッシュする。

 

 

この動きならばおそらく誰も見たことがないはず。(強いか知らんけど)

 

物は試しとこの動きを軸に据えてデッキを構築していくことにした。

 

 

◯2.構築

ミアクレルの盾中であれば、どれだけ自傷しても返しでやられることはない。貫通とか毒とか聞こえてきたが、気にせず進めよう。

 

そのタイミングで様々な自傷ダメージの駒を用意しておくことで、アザゼルの発動圏内に強引にライフを調整していこうというわけだ。

 

で、試作品1号がこちら。

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自傷駒沢山と追加のフィニッシャー。

貫通へのささやかな抵抗としてカウンターを採用。

カウンターに対して早めに貫通を消費してくれないかという狙いだ。

 

 

これで、コロシアムを周回してみる。

 

 

 

 

 

 

AIにしか勝てないんですけど?

てか、AIにすら放って置くと負ける始末(自傷が痛すぎて)

 

ガバガバ勝率に追い打ちをかけるように、2連敗するとAIが颯爽出てくるので、調整効率が下がって仕方ない。

というか私の精神が破壊されかねない。

 

 

 

このままでは廃人まっしぐらの為、止むを得ず奥の手を使うことに。

少しデッキを弄り、禁忌の「クラスマッチ調整」が始まった…

 

 

 

そして、クラスマッチ調整開始から1時間が経過した。

 

 

 

 

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デデドン(絶望)

 

貫禄の12連敗である。

これには流石の私もビビった。

もう少し何とかなるかと思っていたがここまでとは。

 

圧巻はミアクレル+大喬小喬+アザゼルが決まったが、打点が足りずに負けた試合だ。

つまりこのデッキではコンセプトとしている「わからん殺し」がそもそもできないという事だった。(完)

 

 

いやいや、ちょっと待ってくださいよぉ!(若手風)

もう少しチャンスをください。

 

 

私も12連敗から何も学ばなかった訳ではない。

このデッキの99%の良くなかったところ、そして1%の良かったところを整理した。

そして、さらなる調整が始まった。

 

 

◯3.調整

 

このデッキのクソだったところは以下だ。

 

①1枚をリーダーにしないといけないほどのパーツの多さ

②単純な決まる可能性の低さ

③決まった時のリターンの低さ

 

1つずつ整理していこう。

①まずこのデッキは3枚のパーツを揃えるところから始まる。

ミアクレル+自傷+アザゼルである。

手駒4枚のうち3枚を揃える必要があるのだ。

これは普通には実現可能性が低すぎたため、代替の効かないミアクレルをリーダーに据える必要があった。

これにより後述の③の問題も引き起こされている。

 

②次に、アザゼルの発動圏内に自傷で持っていくことが困難である事。

正確にいうとミアクレルを設置するタイミングがとてつもなく難しい事である。

ミアクレルを設置するタイミングは相手の次の攻撃+自傷アザゼルの発動圏内に入るタイミングなのだが、早めに置くとアザゼルまで届かず、遅いと自傷が打てない。

自傷アザゼルをコントロールすることが目的だったが、結局相手依存となってしまっていた。

 

あとジェンイーとかアズリエルとかでミアクレルの盾貫かれて死ぬ事があるのも忘れてはいけない(戒め)

 

③そして致命的だったのが、ここまで準備して発動したアザゼルの火力が相手のライフを削り切るに足りない事だった。

前回のアエーシェマより火力が出るはずなのになぜ?

その答えは通常ダメージの削りにあった。

前回のアエーシェマでは10ターン耐えるために10枚の駒を盤面に置いていた。

ATKがそれぞれ1000だとしても10000ダメージを知らずに稼いでいたのだ。

しかし今回は自傷により高速でライフが減るため置ける駒は多くて5枚、早ければ2ターン目にミアクレルを出さなければならない程だ。

これにより自分のライフはアザゼル圏内でも相手のライフがアザゼル圏内に入っていない事象が多発した(自傷にだけにってかw)

 

 

以上が、このデッキの大まかなクソなところだ。細かいところは挙げれば枚挙に暇がないのでやめておこう。

 

 

え?

このデッキがクソなのなんて見ただけで気づくって?

 

 

その意見は正しい。

3枚コンボなんか決まる可能性が低すぎるし、決まっても大したことないだろうと何となくわかる。

 

但し、クソデッキを作る上ではその考え方が障壁となる。

 

「可能性が低いという事はゼロじゃない(ONEOUTS 渡久地東亜)」

 

 

…まあ、1度も決まらなかったんでゼロなんですけどね。

 

 

ただ、クソデッキを作ってみて初めてわかる発見もある。

今回の発見は自傷によって初手にエンデガがあってもそれなりに打てた事と大喬小喬の全属性バフがそこそこ強かったことだ。

 

自傷を絡めるとエンデガが打てるという事は50%以下発動の駒も同様に発動するという事だ。

そして、全属性バフの強力さ。

 

導き出されたのは…

 

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全てはこの駒に辿り着くための道のりだったのだ…

 

 

序盤のレイネールやハーピストに脅威を感じる人は少ないだろう。

「普通なら」序盤の展開で50%以下は発動しない。

 

20%の自傷により突如としてコンボ発動圏内に入ったらどうだろう。

しかも、1.5倍のバフのおまけ付きで、だ。

 

 

…まだ終わってはいない。

 

ルクセリオンにより「わからん殺し」は成る…!

 

 

 

◯4.実践

 

--------クソデッキ、クラスマッチ初勝利を掴む。

 

 

 

ルクセリオンを編成し、クラスマッチ調整を続ける。

クソだった点の必要枚数はルクセリオン+50%駒とだいぶ減った。

火力に関しては必要枚数が減った事で、トップにバフを置けるようになり改善された。

 

そして。

 

何戦目かは覚えていない。

 

勝った。

 

データ領域の無駄遣いからクソデッキへと昇格した瞬間である。

 

 

そのデッキ内容がこれだ。

 

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何    と    い    う    事    で    し    ょ    う

 

 

 

今回の主役としてあげていた駒は全て抜け去り、エンデガとレム以外は全て美しくリフォームされました。

 

「リフォームというより新しい家建ってませんかね?」

 

という声も聞こえそうだが、主役の駒は抜けたものの、彼・彼女らの意志はしっかりと継がれている。

 

 

(発動範囲が)狭く窮屈だったアザゼルは、(発動範囲が)広々とし、コンボまでついたヴィクトリアに。

 

中途半端だった自傷バフの大喬小喬は、思い切ってルクセリオンにし、(HPレンジを)広く活用。

 

手駒で抱えて打つタイミングが難しかったミアクレルは、いつ打っても良くルクセリオンの安全な着地をサポートしてくれるアルキメデスに。

 

 

やっぱりリフォームじゃないか!(納得)

 

 

このデッキでクラスマッチに潜り、数戦実践を積み、各パーツが洗練された。

そして、デッキは完成を迎えた。

 

 

◯5.解説

完成したデッキを見ながら各パーツと動きの解説をしよう。

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☆各パーツ

・ムーニア

殴るならこの駒一択。

プラスマ蘭では無いのは愛。

必ず最後に愛は勝つ。つまり強い。

 

アルキメデス

ルクセリオンの自傷をサポートし、ルクセリオン下での行動回数を増やす為の回復マス生成。

 

・ルクセリオン

デッキの核。

エンデガヴィクトリアの共存を許し、相手の計算を大幅に狂わせる。

 

・ヴィクトリア、ベルーガ

ヴィクトリアは妨害がなければ考えうる最高のフィニッシャー。

ベルーガはフィニッシャーでありながら、自傷によってデッキのキーパーツのサポートもできる。ジェンイーとは違うのだよ(ドヤ顔)

 

・エンデガ

2枚目のヴィクトリア。強さは言わずもがな。

自傷のおかげでヴィクトリアと共存できるのは他のデッキには無い強み。

 

・イスクード

2枚目のルクセリオン。

相手の計算を狂わせる程の自傷では無いが、サポートとしては十分。コンボが強いのでこいつを消させて安全にルクセリオンという動きも可能。

 

・アラザン、Wハピ、ブレスド、レイネール

コンボパーツ達。

ルクセリオンからの突然の発動でわからん殺しを決めるデッキのキーパーツ。

 

スクナヒコナ

2枚目のアルキメデス

 

・アルン

アタッカー兼コンボパーツ。

場面、手駒ごとにどちらでも使えるので潤滑油としてとても優秀。

 

・短パンのオッサン

短パンのオッサン枠。

ヴィクトリアやエンデガでコンボ繋ぐ為のオッサン。みんな見た目で使ってないと思うけど使うと割と強いよ。

 

・ランドタイラント

引けばゴリラになれる変身セット。

ランタイを引いて君もゴリラに!

 

☆特徴

このデッキの特徴としては、かなりアグロ寄りのデッキだが、「キーパーツを複数枚採用している為、引きムラが少ない」ことが挙げられる。

 

キーパーツとなる、ルクセリオン、ヴィクトリア、アルキメデスやコンボ要員など必要パーツに類似の駒を採用することで、1枚への依存度を下げ、デッキがスムーズに回るようにしている。

 

特にアラジンとアルンはコンボパーツでありながら、フィニッシャーになり得る駒なので非常に重宝する。

 

また、アグロでは珍しい回復マス作成を行うのも特徴だと思われる。

通常アグロは相手のライフを速やかに0にすることが目的である為、回復マス生成はアンチシナジーである。

 

しかし、このデッキではルクセリオンというゴリラ製造マシーンが存在する。

着地してしまえば、全ての駒がゴリラと化す。

 

人間が(回復マスで)少々武装したところで、ゴリラの圧倒的暴力の前では無意味なのである。

 

つまり相手に回復されるデメリットよりも、ゴリラ状態で行動できるターンを伸ばすメリットの方が大きいと判断したため、回復マス作成駒を採用した。

 

動きはこうだ。

序盤から回復マスを作成しながら、コンボパーツを盤面に撒いていく。

撒かれたコンボパーツに相手はまだ脅威を感じていない。

 

しかし、ゴリラ製造マシーンが戦場へ出荷されると状況は一変する。

先ほどまで人畜無害顔をしていた駒達の野生が解き放たれ戦場はジャングルへと豹変する。

 

相手は急いでこちらを倒そうとするが、回復マスのせいでなかなか削りきれない。

その間にこちらはゴリラを次々と戦場へ送り込んでいく。

 

相手のライフは跡形もなく消し飛び、戦場には野生の咆哮のみがこだまするのであった…

 

 

「人知」を越えるためにはゴリラになればいい。

そんな真理を教えてくれたデッキだ。

 

是非、みんなも使ってみてほしい。

 

 

 

◯6.あとがき

ここまでクソ記事を読んでいただきありがとうございます。

今回のデッキは過去最高に調整に苦労しました。

しかし、今回学べたことも多いです。

 

特にデッキの16枚にはなんらかの存在意義がある。採用理由を全て説明できることこそがデッキを組む上で大事だと感じさせてくれました。

 

この理由づけがなければアルキメデススクナヒコナはこのリストに載ってなかったと思います。

 

オリジナルデッキを作るのはとても難しいです。

しかし、それ以上に作ることは楽しいです。

 

この記事を通して、デッキを作ることの楽しさを伝えられればいいなと思っています。

 

今回も長々とお付き合いありがとうございます。

また次回のクソデッキでお会いしましょう